広報とマーコムの違いはありますか?
新緑の美しい季節になりました。新入社員も研修を終えて独り立ちを始める頃、また人事異動で新しくマーケティング部門に移動された方も多いことでしょう。新しい環境に飛びこむときは誰しも緊張と期待の入り混じった気持ちになるものです。
この時期は、ご自身が担当する業務や役割についてしっかりと理解し、どのような成果を求められているのかを確認することをお勧めします。そして、その成果を達成するために必要なスキルや知識を習得し、自己成長に努めていきましょう。新年度を迎え、多く皆様から寄せられたご質問「広報」と「マーコム」の違いについてお話していきます。今回はマーケティング用語でよく使われる言葉を用いていきますので、同時にマーケティング用語も学んでください。
マーケティング手法から見る広報とマーコムの違い
【目的から見る違い】
広報とマーコムは、双方とも企業やブランドのメッセージを伝えるために使用されるマーケティングの手法ですが、厳密には少し違います。「広報」は会社やブランドのイメージを伝えることに重点を置き、「マーコム」は製品やサービスの販売促進に重点を置いています。そして双方ともに会社や製品のブランド力向上のマーケティング戦略を立てる上で重要な役割を持っています。
【マーケティング戦略から見る違い】
「広報」は、社外広報と社内広報に分かれますが、社外広報はメディアや一般消費者を対象として、プレスリリースやSNS、ブログなどを用いて会社や製品のブランドのイメージを発信していきます。社内広報は、イントラネットや社内イベントを通じて社内のコミュニケーション力をアップすることで社員の結束力を高め、会社自身のブランド力を高めていきます。
そして「マーコム」は、製品やサービスを購入してくれる可能性の高いお客様(ターゲット)に向けて、直接的に販売促進活動を行います。Webサイトでのメッセージや展示会出展、イベント開催、製品をわかりやすく紹介するためのユーザー事例(ケーススタディ)誌、動画制作、広告やSNSなどを通じて、見込み客にアプローチしていきます。
【求められる役割から見る違い】
「広報」の業務には、会社やブランドのイメージを保つために危機管理や株主へ向けてマイルストーン(プロジェクトの実施計画)などの情報発信をすることも求めれています。一方で「マーコム」は、製品やサービスの売上を伸ばしていくための販売促進活動が求められます。既存顧客にはニュースレターやSNS、Webサイトの更新などで定期的にコミュニケーション活動を行い、製品やサービスのファンを育てていきます。また新規顧客獲得のためのアプローチも欠かせません。新規顧客獲得のために、ターゲットオーディエンス(顧客対象)を変更したり、新市場開拓のための広告やリサーチなども必要になるでしょう。
広報と広告の違いについては、別のページで紹介していますので、こちらを参考にしてみてください。
企業によっては、広報部門とマーケティング部門が一緒になっていることも多々ありますが、上層部がその違いを理解していないと、スタッフの業務管理上の目標設定があやふやになってしまいます。 また営業部門との協力体制の構築は欠かせません。お客様のことをよくわかっている営業からの声を聴いて、マーケティングコミュニケーション施策に活用していきましょう。但し営業の声だけを聴いていては、それは偏った施策になってしまいがちです。市場を理解するためには、マーケティングの原点に戻って、PEST分析(Political, Economical, Social, Technological)を忘れないようにしましょう。
マーコムって何? マーコムは何の略称?
「マーコム」って何?何の略称ですか?これも良くいただく質問です。「マーコム」は、マーケティングコミュニケーションの略称です。「マルコム」と呼ぶ方もいらっしゃいます。マーケティング部門のマーケティングコミュニーケーションに携わる方が「マーコム」と呼ばれています。マーケティングコミュニーケーションは、市場と対話する部門と考えていただくとわかりやすいかと思います。このマーケティングコミュニーケーションの説明については、他のページでご紹介していますので参考にしてみてください。
それではマーコム戦略、マーコムプランニングで必要なことについて解説していきます。
マーコムプラニンングに必要なこと
マーコムプラニンング(マーケティングコミュニケーションプラニング)に必要なことを簡単にご説明します。
【目標の明確化】
最初に会社や製品ブランドが達成したいと思っている目標を明確化します。例えば、新製品のローンチ(発表)、既存製品のテコ入れにおける販売促進施策、製品ブランドの認知度の向上などが挙げられます。
【ターゲットオーディエンスの定義】
アプローチするターゲットオーディエンス(顧客対象)をしっかりと定義する必要があります。これは製品やサービスを利用する人々の属性(所属先や年代など)、興味・関心ごと、ニーズ、行動パターンなどを理解することを意味します。ここがあやふやだとマーコムプラニンングもあやふやなものになり、望む状態を手に入れることができなくなる場合があります。
【顧客へのメッセージの決定】
ターゲットオーディエンスに伝えるメッセージを決め社内で共有していきます。メッセージは、製品やサービスの利点、ブランドの価値、企業のビジョンやミッションなどを含んでも良いでしょう。商品の良さや使い方を一言で伝えるキャッチコピーや簡潔にまとめられた製品説明ライティングを考えてみてください。
【メディアプランの策定】
ターゲットオーディエンスにアプローチするためにどのメディアを利用するか、広告予算の割り当てや、広告出稿スケジュール、広告の種類、メディアの選択基準などを決めます。ここでいう広告は、企業によって様々だと思いますが、チラシやDM配信も広告ですし、TVCMやインターネット広告なども入ります。ターゲットオーディエンスを明確にすると、おのずと適したメディアプランの策定もすんなり整理されます。
【効果測定の実施】
マーコムプランを実施した後は、結果を評価する必要があります。四半期で行ったマーコムプランの実施に際し、もし進捗途中であるならば、その状況の把握と実施までの計画の見直しなども必要です。実施したのであれば、当初に決めた目標達成度やROI(投資利益率)などを評価指標として分析してみてください。目標に達成していないのであれば、その原因は何かを洗い出す必要があります。ここで大切なのは目標に達成しない原因を人のせいにしないことです。分析することが大事なのであって、誰かが何かをしないせいだとかではなく、なぜ達成できなかったのかを洗い出すことに重点をおいてください。
【軌道修正計画の策定】
目標に達成しない原因がわかったら、そこを軌道修正する施策を考えます。理想とする顧客にメッセージが響いていないと感じたら、コピーライティングやアプローチの手法を変えたりします。BtoC向けの施策では、商品の形状やキャッチコピーを変えるだけで売り上げが倍増ということが良くあります。またインターネット広告の画像や申し込みボタンの位置を変更しただけで、申し込みや購入が増えたということも多々あります。BtoB企業の場合は、展示会でのアプローチや視覚に訴える施策を増やすと顧客の反応が変わることがあります。軌道修正計画に悩んだら、お気軽にAOI.コミュニケーションズにご相談ください。不思議なもので自社では見えないことが、外部からは良く見えるものです。
【繰り返すPDCA】
マーケティング業務に終わりはありません。何度も施策を考えて実行し振り返って軌道修正してまた実行とPDCAはずっと続いていきます。マーコムは、市場との対話をする部門です。対話をやめてしまったら、相手は居心地が悪いと感じ今までのお付き合いをやめてしまうかもしれません。恋人との対話をやめてしまったらどうなってしまうでしょうか?
お客様との対話を続け、楽しむことがマーコムプランの醍醐味です。これからも楽しい対話を楽しんでください。
マーケティングコミュニケーションに向いている人ってどんな人?
人事の方から良くいただくご質問ですが、長くなってしまったので、「マーケティングコミュニケーションに向いている人はどんな人?」は次回にさせていただきます。ブログの更新をいち早くお知らせいたしますので、AOI.コミュニケーションズマガジンへのご登録もお願いします。
明日も良い一日でありますように